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歯科コラム:あなたの為の、ちょっと耳が痛い話(喫煙のリスク)

こんにちは、衛生士の中川です。

「わかっちゃいるけど やめられねぇ」その昔、こんなフレーズの歌が流行しましたね。(わかる方、いらっしゃるでしょうか…)ズバリ今回のテーマは「喫煙のリスク」についてです。該当する方には耳の痛い話でしょうが、どうぞお付き合い下さい。

タバコの成分で人体に影響を及ぼすものがニコチンであることは有名な話です。ニコチンは臓器だけでなく、お口の中にも悪影響が現れます。まず、ニコチンがビタミンCを破壊するため、歯肉内のコラーゲン線維が委縮して歯肉がやせてしまいます。その為、歯の根が見え始めて歯が長く見えます。審美的な観点から見ると、ヤニによる着色も問題と言えるでしょう。歯の表面に付着する場合もあれば、内側に付着する場合もあるので大きく口を開けて笑ったりすると他人から見えてしまいます。ニコチンの作用は体の内部にも及びます。血管が収縮(狭くなる)することにより免疫機能が低下してしまいます。歯周病は、体の免疫機能と深く関わりがありますので免疫低下により歯周組織が活発になり歯周病が進行しやすくなります。この説については、非喫煙者に比べ4~5倍も歯周病が進行するリスクがあると具体的な数字も出ているので決して逃れられない現実です。口の中の影響で言うと、口腔がんになるリスクが上がることも挙げられます。これは、口の中の粘膜を構成する細胞のDNAがニコチンにより傷つけられる為に起こるものです。体の抵抗力が低下することも考えると、喫煙はやはり好ましい行為とは言えません。

「タバコを吸ってもがんにならない人もいるし、歯周病の件であっても歯医者に通っていれば安心じゃないか!」とおっしゃる喫煙者の方々もいらっしゃるでしょう。がんの件は、確かにそうかもしれません。しかし歯周病については、決して安心できません。

先述にて、ニコチンの作用で血管が収縮してしまう話をしました。これが大きな問題なのです。血管が収縮すると血流が低下する…すなわち、歯肉の炎症が表に現れにくくなってしまいます。炎症は歯肉の内側でも発生するものです。私たちは歯周病の進行度を歯肉ポケットの深さや炎症による出血にて判断している為、このような状態になってしまうと歯周病進行の早急な発見ができなくなってしまうのです。歯周病治療はただでさえ時間を要するものであり、歯周病が進行している場合ならばなおさらのこと。予後も悪くなるので、タバコの影響で治療の効果が出ないのなら、治療の意味がなくなってしまいます。非喫煙者と比較すると、そのくらいの違いが出てしまうものです。「電子タバコに変えたから、自分は大丈夫!」と思っている方も、気を抜いてはなりません。結局のところ、ニコチンは体内に入りますので健康を意識するならば禁煙を強くお勧めします。

近年、世間からの健康への意識が高まり社会の禁煙に向けての働くは少しずつ広がっています。会社内全て禁煙とする企業もでてきているという噂も耳にしました。もしもこのような動きが日本各地で起こるようになったら…。喫煙者はどこまで喫煙所を追うのでしょうか?禁煙するつもりのない方も社会的な動きと健康面において、今のうちから少しずつでも禁煙を考えてみるのはいかがでしょうか。