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歯科コラム:歯磨き粉の選び方

みなさん、こんにちは。衛生士の中川です。

「種類がありすぎて、どれを選んだら良いのか分からない…。」そんな声が多いのが、歯磨き粉です。皆さんは日頃、どのようにして歯磨き粉を選んでいますか?CMで好きな芸能人が出ているもの?パッケージがオシャレなもの?“生薬”というパンチラインに惹かれる?選ぶ基準は様々だと思います。

今回は、お口の中の症状に合わせた歯磨き粉の選び方のお話をしていきます。

 

昨今はモノにあふれ便利な時代になりましたが、一方でモノや情報がありすぎて選択に悩んでしまいます。歯磨き粉にもたくさんの種類がありますが、成分表示を見るとお悩み解決の糸口が見えてきます。

まず共通しているのが「むし歯予防」の成分です。フッ素は今や世間にも知られるメジャーなものになりましたが、濃度があることをご存知でしたか?フッ素の濃度“ppmF”という単位で表わされ、数値が高くなる程濃度が高くなっていきます。少し前に、我が国の薬事法の改訂により歯磨き粉に入れて良いフッ素の濃度は1000ppmFから1500ppmFまで引き上げられ“高濃度フッ素入り”として商品化されています。500ぽっち上がったところで何が変わる?と思う方もいらっしゃるでしょう。たった500ぽっちでも虫歯予防の効果は14~22%上昇します!しかし、日常的に継続していかなければ効果はないので高濃度フッ素の歯磨き粉は常に使い続けていただきたいものです。

次に「歯周病予防」の成分です。主に4種類ありますので順に説明していきます。トラネキサム酸(TXA)は歯肉の炎症や出血を防ぎ、類似した成分ではβ-グリチルレチン酸があります。β-グリチルレチン酸には前述の効果の他に歯周炎の予防効果があります。酢酸トコフェロール(VE)は、歯肉の細胞を活性化させて歯肉の組織を修復します。また、歯肉の上皮を強化して歯肉内部への歯周病原因子の侵入を防ぐことができます。中でも強力なものがイソプロピルメチルフェノール(IPMP)です。細菌の層を壊す高い殺菌作用があるので、歯周病が進行してしまっている方にお勧めしたい成分です。

「殺菌成分」として使用されているものは、主に歯肉炎や口臭を予防する効果があります。前項でも紹介したイソプロピルメチルフェノール(IPMP)の他、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ラウロイルサルコシンNa(LSS)等があります。強力なものはやはりIPMP、次いでCPCとなっており、高い殺菌効果を期待したい方は参考になさってください。

最後は「知覚過敏症状の予防成分」です。この症状に頭を悩まされている方は多いのではないでしょうか。この症状を助けてくれる成分は2つです。硝酸カリウム(KNO3)と乳酸アルミニウムです。前者は歯の神経の興奮を鎮め、痛みの伝達を抑制するはたらきがあり、後者には痛みの伝達経路となる象牙細管を封鎖するはたらきがあります。即効性を期待するならKNO3を優先させ、持続性を持たせるならば乳酸アルミニウムを優先させると良いでしょう。

テレビのCMやオシャレなパッケージは確かに魅力的であり、つい期待してしまいがちです。しかし、購入の前に少し立ち止まり歯磨き粉の成分表示をじっくり見て下さい。果たして、本当にその歯磨き粉は皆さんのお悩みやお口の中の状況に沿うものでしょうか?その答えが、普段なら気にも留めない場所にひっそりと書かれているのです。