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歯科コラム:唾液の働き

こんにちは。衛生士の井上です。

みなさんは唾液に色々な働きがあることを知っていますか?
実は、日頃生活している中で、唾液は口腔内の組織をなめらかにして飲み込む機能や、発音に関わる機能をサポートするだけでなく、歯や粘膜などに起こるトラブルからさまざまな方法で防御しています。

今回は、そんなトラブルから守ってくれる『唾液の働き』についてお話させて頂きたいと思います。

唾液の主成分は何でできていると思いますか?

正解は99.4%水で出来ています。あとの0.6%は無機質と有機質になります。その0.6%しか存在しない成分が口腔の機能に重要な役割を果たしています。

【無機質と有機質の成分】
・無機質・・・主なものはナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、リン酸および重炭酸
微量元素はフッ素など
・有機質・・・糖タンパク(ムチン)、免疫グロブリン、酵素(アミラーゼ、リゾチーム、ペルオキシダーゼ )、アミノ酸、グルコースなど

たった0.6%でも無機質と有機質にもこれだけの成分が含まれています。

そしてここからは、その成分の作用と役割を6つに大きくわけてお話していきます。

①洗浄作用
唾液の水分はプラーク(歯垢)中の酸を洗い流す作用だけでなく、表層下脱灰層(初期のむし歯)の酸を洗い流す作用もあります。

②緩衝作用
まず”唾液の緩衝能”とは、口腔内に作用した酸やアルカリ性を中性に近づけようとする(元に戻す)働きのことをいいます。酸性に傾けば傾くほど、むし歯へのリスクは高まりますが、リン酸および重炭酸が口腔内環境を一定に保ちます。

③再石灰化作用
無機質の主な成分に含まれる、カルシウムとリンが作用し、表層下脱灰層(初期むし歯)のエナメル質の結晶を新しく形成し、元の健康な状態に戻します。

④潤滑作用
有機質の成分に含まれる、糖タンパク質(ムチン)により、口腔粘膜の滑りを良くし、水分とともに咀嚼や嚥下を容易にします。

⑤抗菌作用
口から入ってくる細菌の増殖を、酵素(リゾチーム、ペルオキシダーゼ など)、免疫グロブリンなどによって抑制します。また、がんの原因にもなる活性酸素( ※ )を減少させるとも言われています。
( ※活性酸素・・・呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常の状態よりも活性化された酸素のことを言います。体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします。)

⑥消化作用
酵素(アミラーゼ)が、食べ物に含まれるデンプンを分解し、胃で消化されやすい状態にします。

ここには主な6つの作用をあげていきましたが、他にも体液量調節作用や内分泌作用など沢山の作用があります。

通常、健康な成人は、1日あたり平均1L〜1.5L(大きなペットボトル1本分ぐらい)もの唾液を分泌しています。ですが唾液の分泌は、夜になると減少していきます。それに伴い、唾液の作用とその機能も低下していくため、細菌は増殖していきます。少しでも増殖を減らすため、”夜寝る前”と”朝起きてすぐ”のケアが重要となります。

唾液の分泌が減ると口腔内が乾燥し、食べ物が飲み込みづらくなる、口臭が出てくる・きつくなる、ネバネバして口腔内が気持ち悪い、話しづらくなるなどが起きてきます。それだけでなく、先程お話した作用が機能しなくなり、舌痛、口内痛やカンジダ菌増殖による口内炎、むし歯や歯周病などにもかかりやすくなります。

では、何故唾液が出づらく、減ってしまうと思いますか?

それは以下の原因が唾液の分泌減少に多いと言われています。
・加齢
・ストレス
・糖尿病
・口腔乾燥症
・シェーグレン症候群
・薬の副作用
・口呼吸
・放射線治療
・喫煙 など…

加齢やストレスで唾液の分泌が低下しているのかも…。そう感じたら、すぐにご自身の食事の習慣をチェックしてみてください。例えば、食べ物が噛みにくい、飲み込みにくいからといって、水やお茶で流し込んでいませんか?本来なら噛む度にたくさんの唾液が分泌されるのが理想です。それを水やお茶で流し込んでいると、唾液を分泌する習慣が断たれ、ますます低下していきます。多少食べにくくても、飲み物なしで噛んでみようという習慣をつけてみてください。咀嚼回数を増やすと唾液の分泌も増えていきます。唾液があまり出ないうちに食べ終えてしまう”早食い”も良くないので注意してください。

他にも、
・食べる時の姿勢を正しくする
姿勢を正し、飲み込むことにより、飲み込みやすくなり、機能を衰えさせません。逆に背中を丸めてご飯を食べるのは、機能低下のスピードアップに繋がります。
・唾液腺マッサージ
唾液腺をマッサージすることによって、唾液の増加效果と唾液分泌の機能が低下していないかのチェックもすることができます。
・食事、食材を見直す
先程、咀嚼回数を増やすと唾液の分泌も増えると言いました。顎が疲れることもなく、長い間噛み続けられる食材を選びましょう。
・水分補給
唾液は体内の水分量と関連しています。体中の水分が減少していますと、それに伴い唾液量も低下していきます。喉が乾いたと感じたら、水分不足のサインかもしれません。
・歯肉マッサージ
ご自身で行う唾液腺マッサージとは違い、歯科医院で、お口の中から粘膜など歯肉をマッサージし、唾液の分泌を増加させるものになります。

みなさん人それぞれ原因も違うため、治し方など違ってきます。ご自身の唾液の分泌の低下について気になることがありましたら、お近くの歯科医院に受診していただくことをおすすめします!
当医院でも、気軽にご相談ください!